加 工 技 術

材 料 開 発

材 料 評 価

ナノ炭素材料による超精密研磨

ナノ炭素材料(カーボンオニオン,ナノダイヤモンド)を砥粒とした,超精密研磨手法について研究を行っています.ナノダイヤモンドはその硬度とサイズを活かし,研磨速度と到達表面あらさの両面で優れた研磨性能を示しますが,微小な傷を残す欠点があります.一方,本研究室で提案しているカーボンオニオン砥粒では,対象が硬質な炭化ケイ素であっても砥粒性能を発揮し,微小な傷の発生を抑制する効果もあります.また,このカーボンオニオン砥粒をより有効に活用するための研磨装置の設計,製作も行っています.

粒子単位付加造形

金属材料の3Dプリンティングが注目されていますが,従来の手法は微細な金属粉末を層にし,レーザで必要な部分のみを固める積層造形法でした.積層造形は層の面内方向と積層方向で特性が異なる,レーザによる溶融・固化の範囲の制御が難しい,フレーム構造のような空隙の大きい形状に不向きであるといった問題もあります.そこで,本研究室では層ではなく粒子1粒を付加単位とした新しい付加造形法を提案しています.強磁性体粒子を磁場により空間中に配置し,レーザにより粒子同士を直接接合することで,粒子単位で造形の制御を可能にしました.

レーザ表面改質

レーザ照射により形状変化を伴わず,表面の性質のみを局所的に制御し高機能表面を実現しています.たとえば,炭化ケイ素表面に高潤滑な炭素層を形成し,マイクロトライボロジー特性に優れた表面としています.この技術を応用し,高温で高速駆動するマイクロマシンの実現が期待されています.また,この他にも,レーザによりガラス表面の濡れ性を段階的に制御し,目には見えない流路を形成したり,液滴の自己輸送能力を実現しています.

カーボンオニオンで研磨した石英表面の原子間力顕微鏡像

上)粒子単位付加造形法の概念図,粒子位置は磁石で制御

左)高速カメラで撮影したレーザにより接合される粒子

左)レーザで局所改質した炭化ケイ素の摩擦係数.改質後,摩擦係数は約1/3に 右)ガラスの濡れ性を改質して作製した液滴自己輸送機能を有する表面流路

カーボンオニオン

カーボンオニオンは,多層球殻構造を有するグラファイト結合性のナノ炭素材料です.本研究室では,ナノダイヤモンドやカーボンブラックを2000℃付近で熱処理することで,高品質なカーボンオニオンの大量合成を行っています.合成したカーボンオニオンは,潤滑剤や研磨剤,電極材料と多様な応用研究へ展開しています.また,合成条件や原料の違いによるカーボンオニオンの基礎特性そのものの違いを評価するために,未だ確立されていないナノ粒子単体の機械特性評価にも挑戦しています.

高機能アモルファスカーボン

アモルファスカーボンは,高潤滑性,高化学的安定性,高機械強度を有する薄膜材料です.本研究室では,電子ビーム励起プラズマPVD法やRFマグネトロンスパッタ法により硬質なアモルファスカーボン膜を成膜しています.また,主に潤滑を応用先として,蛍光による摩耗検出機能を有する複合薄膜や,微量な金属元素を添加することで低電気抵抗率を有し除電可能な薄膜の実現,また剥離を抑制するために基板にナノレベルの微細孔を施すなどの高機能化を目指しています.

インクジェット合金薄膜形成

通常,合金薄膜はスパッタリング等の気相合成により成膜されます.しかし,機能性合金の中には僅かな組成のゆらぎによってその機能が大きく異なるため,所望の合金組成を達成することや,任意の組成傾斜を実現することで,新しい合金薄膜の展開へとつながります.そこで,数色のインクから幅広い色を再現するカラー印刷のように,インクジェット印刷法により合金組成を空間的にデザイン可能な新しい合金薄膜形成法を研究しています.

カーボンオニオンの透過型電子顕微鏡像.直径10nm以下の同心球殻構造が鮮明に観察されます.

左)Si基板上に成膜されたアモルファスカーボン膜

右)摩耗部(中央の円環)が発光する摩耗検出機能を有するアモルファスカーボン膜

インクジェット合金薄膜形成の概念図.組成と形状を一括で制御します.

ナノ粒子の破壊強度評価

ナノ粒子による研磨のメカニズム解明を目指し,ナノインデンターを用いた,ナノ粒子の破壊強度評価を行っています.基板上に分散したナノ粒子を走査型プローブ顕微鏡の要領でダイヤモンド圧子により検出し,その中心に荷重を加えて圧縮破壊しています.これまで,直径約10nmのカーボンオニオンの圧縮破壊試験に成功しています.

マイクロトライボロジー評価

アモルファス炭素膜のような固体潤滑コーティングをマイクロマシンに適用するためには,摩擦係数や摩耗特性を微小荷重・微小領域で評価する必要があります.そこで,摩擦力顕微鏡を用いた微小摩擦・摩耗試験を行っています.既製品のシリコンプローブでは摩耗試験に適さないため,集束イオンビームを用い,摩耗試験用のプローブを研究室で加工しています.実際に製作したプローブで1万回の走査を行い,試料の摩耗の検出や,耐久性評価に成功しています.

カーボンオニオンの電気化学特性評価

カーボンオニオンは高い導電性と比表面積を有する炭素材料であることから,電気二重層キャパシタと呼ばれる高パワー密度を有する蓄電デバイスの電極材料として有望視されています.本研究室では,カーボンオニオンの電気化学特性を評価し,さらに別の材料と混合したりセルの形状を工夫することで,従来の電気二重層キャパシタの高エネルギ密度化や,用途の拡大を目指しています.

研究室で加工したマイクロトライボロジー用Siプローブ